腎臓はどんな臓器なの?
腎臓は尿を作っている泌尿器系の器官であることは、ご存じの方も多いでしょう。しかし、構造や機能などの詳しい情報については、なかなか知るチャンスは少ないのではないでしょうか!
こちらでは腎臓の豆知識をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
腎臓は体内で私たちの健康を支えてくれる重要な役目を果たしています。人間の腰くらいの位置に左右で2つあります。
腎臓の主な機能として
1.不要な老廃物や塩分を濾過して排出する
2.血圧を調整する
3.骨髄に赤血球を作るように働きかける
4.イオンバランスを調整する
5.ビタミンDを活性化させる
という5つの働きがあります。これは健康を維持するためには必要不可欠なことです。詳細につきましては※腎臓の機能をご覧ください。
そのため障害が発生すると生活に大きな支障を来すことになります。
ところが、世の中には腎臓に不安を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。日本国内に慢性腎臓病(CKD)の患者数が1330万人存在し、そのうち32万人以上の方が透析療法の患者数です。
慢性腎臓病は、腎臓の機能が健常者の60%以下に低下したり、タンパク尿が慢性的に出続けるなどの症状のことです。また、透析療法とは、腎機能が低下して尿毒症などの症状が見られ、薬物療法や食事療法を行っても状況が改善せず、通常の生活を送るのが困難なケースで導入される治療法です。
透析療法は血液透析と腹膜透析があり、約97%の患者さんが血液透析を行っています。血液透析のやり方は、腕の静脈に針を刺して、血液を取り出して、ダイアライザに血液を通して老廃物や不要な水分を除去して血液をキレイにする方法です。
透析療法を行うようになると、週に3回病院に通って1回の治療時間が3〜5時間くらいかかりますので、とても不便な生活を送らなければならなくなります。
しかし、近年は腎移植による治療法が目覚ましく進歩しています。国内にて移植後の臓器が機能している割合(10年生着率)も60%以上という高い数字を誇っています。また、腎移植がうまくいけば、面倒な透析療法を行う必要はありませんし、健常者と変わらない生活を送ることも可能です。そのため腎移植もどんどん広まってきました。
尚、腎臓病の種類には急性や慢性の糸球体腎炎、ループス腎炎、IGA腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症、多発性嚢胞腎、糖尿病腎症などがあり、それらの行基が進行すると慢性腎不全になってしまうのです。
腎臓病を予防するには、普段の生活習慣が重要です。規則正しい生活、適度な運動、栄養バランスの良い食事などを心掛けましょう!食生活が気になる方はサプリメントを利用する方法も有効です。腎臓に良い成分などを摂取すると良いでしょう。
最近は腎臓の悪化は血圧を上昇させて、心筋梗塞や脳卒中などにも繋がること判明してきましたので、充分に注意してください。
腎臓の構造やしくみについて
腎臓は人間が生命を維持する上でとても大切な臓器です。位置は腹部の背中側で肝臓の下にあり、背骨の左右にそれぞれ1つずつ存在しています。大きさはちょうど握りこぶし程度で、形はそら豆に似ています。
具体的には、長さが9〜11p、幅が5〜6p、厚さが4〜5pで、重さは120〜150gです。
それでは、腎臓はどのような構造になっているのでしょう?
腎臓の内側を見ると中央部に凹んだ部分があり、そこは腎門と呼ばれています。腎門には腎動脈、腎静脈、神経、リンパ管、尿管があり、これが外部との出入り口のような役割を果たしています。
心臓から運ばれてきた血液は腹部大動脈を経由して腎動脈から腎臓に入り、そこで血液を濾過して老廃物を尿として捨て、キレイになった血液を腎静脈を経由して下大静脈を通って心臓に戻されます。
また尿管は腹膜の後側を通って骨盤に入り、膀胱へ繋がっている器官です。腎臓で作られた尿を一時的に溜めたり、膀胱へ運ぶ役目を果たしています。
腎臓を断面から見ると、外側は被膜という薄い皮で、その下に1pほどの厚さの皮質という部分があります。その内側には放射状になっている髄質(腎錐体)があり、その先端が腎杯に面しています。腎杯は木の枝のように多数に分かれていて、それが腎盂に繋がり、さらには尿管に辿り着くのです。
尚、腎杯、腎盂、尿管には平滑筋という筋肉があり、その筋肉が蠕動運動を行い尿が送り出されています。
ところで、腎臓の最小機能単位はネフロンと呼ばれ、人間の場合は1個の腎臓におよそ100万個あります。ボーマン嚢、糸球体、尿細管の3つが主な部位ですが、この中で糸球体と尿細管は重要な働きをしています。
ボーマン嚢は糸球体を包み込んでいる組織のことを指します。
糸球体はその名の通り、0.2mmの毛細血管が糸玉のように巻かれた球形のようになっています。毛細血管の間にはメサンギウムという細胞があり、これが毛細血管をつなぎ合わせています。その他に濾過機能を備えている糸球体基底膜などにより構成されています。
血液が出入りする血管壁には平滑筋細胞があり、入ってくるほうを輸入細動脈、出ていくほうを輸出細動脈と呼んでいます。この2つの収縮や拡張のバランスが糸球体内圧を調整しています。糸球体内圧が高くなると過剰濾過になり、糸球体障害などが発生しやすくなります。
糸球体では血液の濾過が行われ、ボーマン嚢に排出されたものが原尿となります。原尿はその後、ボーマン嚢から出ている尿細管という管に送られます。尿細管は近位尿細管、ヘンレー係蹄(ループ)、遠位尿細管、集合管などがあり、原尿が通過する際に再吸収、分泌、濃縮、希釈などの再調整を行います。
この近位尿細管、ヘンレー係蹄、遠位尿細管、集合管では、それぞれの役割を果たし、最終的に排出される尿は腎盂に集められて、尿管から膀胱へ運ばれます。
これが一連の流れになります。
ところで、腎臓はとても多くの血液を処理している器官です。1日に約1300〜1500リットル、1分間に換算すると約1リットルくらいの血液が運ばれてきます。そのうち糸球体で原尿として処理されるのが、150リットルです。
そして更に、そこから原尿が尿細管を通ると最終的に99%が再吸収され、尿として排出されるのは1.5リットルくらいになるのです。
そのため腎臓は忙しい器官ですし、とても働き者だと言えるでしょう。腎臓の働きは私たちの健康維持には重要な任務なのです。